売掛金は手形などの債権を意味しますが、事業主によって第三者に売却されることがあります。法律上の問題は無く、経済産業省も売掛金買取の利用は健全な資金調達方法と推奨するほどです。売掛金買取が行われる理由は多くの場合、早急にまとまった金額の現金を用意する必要に迫られたことです。利用するのに特別な条件や制限は存在せず、借入とは異なり返済や利子の支払いなどの出費が発生しないメリットがあります。
一方で買取業者によって現金化に要する時間が異なるのも事実なので、査定額だけを見て安易に即決するのは避けるのが賢明でしょう。売掛金買取の査定額は額面の9割ほどが平均的な相場とされていますが、必ずしもすべての売掛金が高額買取になるとは限りません。差定額は債権の社会的な信用や支払期日など様々な事柄で決まる他、買取業者の回収スキルにも左右されます。同じ売掛金でも業者によって差定額が大きく変わることも珍しくないので、損をしないためにも複数の業者を比較するのが事業主に求められる姿勢です。
業者を比較する際には二重譲渡にならないよう、十分に注意しなければいけません。一つの売掛金を複数の業者に売却するのが二重譲渡の内容ですが、現金化の手続きにはある程度の時間を要するので、意図的に行うのは不可能ではありません。しかし、手続きのシステム上、二重譲渡は必ず判明します。悪質と見なされたら詐欺や横領の罪に問われることになり、社会的な信用を大きく損なう結果になるのは避けられません。
事業主として業務を続けるためにも、不正は行わないことが何よりも重要になります。